日本歯内療法学会に参加するため長崎に行ってきました.
金曜日に学術委員会があったため,金曜の朝東京を発ち,
土曜日と日曜日の学会に参加してきました.
学会ではテーブルクリニックで,
CT撮影についてお話させていただきました.
低被曝ということでCBCTが歯科領域で使われるようになりましたが,
何に対して低被曝かというと,医科用CTに比べて低被曝というだけであり,
従来の歯科用エックス線写真に比べれば,
被曝量はかなり多くなります.
(機種や撮影方法によって被曝の実効線量が変わります.)
そこで,歯内療法ではどのような場面でCTを撮影すべきなのか,
私の臨床経験からお話をさせていただきました.
結論を言うと,歯内療法でそんなに撮る場面はありません.
全ての症例で撮るべきだ,という先生もいらっしゃいますが,
患者さんのメリットと被曝量を天秤にかけると,
それは正当化されないと思います.
学会としても歯内療法におけるCBCTの撮影について
ある程度の指針をだすべきではないかと提案させてもらいました.
大事なところなので,是非しっかり学会が考えるべきところだと思います.
その他の講演もしっかり聞いて勉強してきました.
シンポジウムでは戸田一雄先生が
難治性疼痛について,生理学的に解説してくださいました.
原因不明の慢性痛,当院でも診療していますが,
その状態を生理学の分野から分かりやすく解説していただき,
痛みへの理解が深まりました.
残念ながら特効薬はないかもしれませんが,
信じて治療に通って下さる患者さんは皆さん良くなっていきます.
その理由も頭の中で整理され,とても勉強になりました.
また,中島美砂子先生は歯髄再生療法について講演してくださいました.
実は私も一時期「象牙芽細胞の分化」を夢見て実験していたことがあります.
残念ながら私の実験は上手くいきませんでしたが,
その夢が中島先生のところでは現実になってきているのだと実感しました.
是非,歯髄の再生を近い将来臨床で行えるような研究を進めていただきたいたいと思います.
今回の学会は日韓共催の大会であったため,
韓国の友人にも会うことができました.
彼らも素晴らしい研究をしていました.
医療はどんどん進歩します.
今正しいと思われていたことが,
10年後にはひっくり返っている可能性だってあります.
私達は日々の研鑽を怠らず,
最新の歯科医療を提供していきたいと考えています.