風邪に抗生剤は効かない

澤田則宏

2011年03月09日 15:11

最近読んだ本の話です.

岩田健太郎先生の
「麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか」
という本を読みました.



題名を見ると新型インフルエンザの話かと思いますが,
話の半分は抗生剤のお話です.

感染症専門医というのが日本にはほとんどいないそうです.
確かに私の友人医師達も,
「なんだ歯科医は感染症もろくに解決できないのか」
と,自分達は感染症を克服したかのような発言をしています.

でも,感染症って結構奥が深いのです.
新しい抗生剤がでれば,すぐに耐性菌が生まれます.
結局のところ,耐性菌はなくならないのです.

ということは,今ある抗生剤を含めて,
適切な時に,適切な抗生剤を,適切な量使用していかないと,
結局身の破滅になってしまうということです.

当院では抗生剤をほとんど使用しません.
急性症状があれば,抗生剤を出しますが,
通常の根管治療では抗生剤は不要です.

先日,「仕事が忙しく,医院まで来るのは大変なので,
この腫れが引かなかった時のために,
もっと抗生剤をください」と患者さんに言われました.
私は,「もししっかりこの抗生剤を飲んで,
効かないのであれば,違う抗生剤もしくは違う応急処置を検討しますから,
そのときは来院してください」とお話しました.

日本では医科も歯科も抗生剤を使いすぎです.
風邪にも抗生剤は効きません.
風邪で抗生剤をだされたら,首をひねりましょう.

我々歯科医師も抗生剤の使い方をもう一度考えるべきかもしれません.
抗生剤は適切に使用したいと考えています.

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