あかない根管

澤田則宏

2011年03月23日 21:32

先日来院された症例です.

下顎第一大臼歯の根尖に大きな透過像がある,
ということで,主治医の先生から紹介で来院されました.

初診時のエックス線写真がコレです.


確かに近心根の根尖に大きな透過像が認められますね.
当院にて顕微鏡下で処置をしましたが,
本来の根管は石灰変性をしており,
根尖まで器具が届きませんでした.

でも,石灰変性は生体の防御反応の一種ですから,
感染源を取り除くことができれば,
病変は治癒に向かってくれます.

当院で行った処置は感染源の徹底的な除去です.

その結果.....


これが術後14ヶ月のエックス線写真です.


透過像が消失し,骨再生の様子がわかります.



根の先まで器具は届きませんでしたが,
「あかない」ことが悪いわけではありません.
細菌感染を除去できるかどうか,
そこが治るか治らないかの分かれ目です.

治療中にはラバーダムをし,
器具はすべて厳密に滅菌したものを使い,
細心の注意を払いながら治療をしています.

目的は感染源の除去であり,
根の先まで器具が届くこと(「あく」ということ)は,
治療の一手段でしかないのです.



かぶせものも主治医の先生が適合の良いものを入れてくれています.
これなら二次カリエスも起きず,
永くこの状態を維持することが可能でしょう.


主治医の先生とともに,良い治療を提供できたと思います.
患者さんもハッピーですよね.


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