「わかること」と「わからないこと」
以前読んだ本ですが,
南淵明宏先生の「心臓は語る」
という本を紹介します.
心臓の役目,心臓病,その治療法などについて,
わかりやすく書いてあります.
検査の章をみると,
どの検査も,「わかること」と「わからないこと」がある
というページがあります.
ここの一節を抜粋します.
「検査にはそれぞれ「わかること」と「わからないこと」があります.
たとえば,画像診断の場合,検査結果として出てくるのは
二次元の画像です.しかし,実際の人間の体は三次元です.
診断というのは,『二次元の画像から三次元の状態を推測する』
という難しい作業になります.」
ここを読んだとき,
歯科のエックス線写真も同じだ,と思いました.
歯科のエックス線写真でも
「わかること」と「わからないこと」があります.
歯科のエックス線写真でよく見る「黒い影」は何を意味しているのでしょうか?
エックス線写真でわかるのは硬組織の有無です.
わかりやすく言うと,
骨や歯があるかないかです.
そこにあるのが炎症かどうかはエックス線写真ではわかりません.
そしてその影の位置や大きさを正確に知るには,
2方向以上からの撮影が必要なのです.
歯内療法専門医は術前のエックス線写真を2方向から撮影し,
立体像を頭の中で構築します.
つまり,2次元の情報をもとに,3次元画像を構築しているわけです.
もちろん,それでも限界があります.
診断がつかず,治療方針が二つ以上考えられるような場合,
CTを撮影することもあります.
(第一選択として最初からCTを撮影することはありません.
被曝量が多く,そこまでしなくても通常のエックス線写真で
十分な診断ができる症例がほとんどだからです.)
正確にエックス線写真を読影することは結構難しいのです.
前述の「心臓は語る」にも書いてありましたが,
医師によって読影力にも差がでます.
歯内療法専門医に診てもらうことにより,
専門医がどのようにエックス線写真をみているか(読影しているのか),
聞くこともできます.
診査を受けるだけでも価値があるかもしれませんね.
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